北部で国境を隔てて隣接する中国とベトナムの関係に関して

日本にとってアジアの国々は身近な国です。中国やベトナムとは国際政治関係のみならず、最近はビジネスなどでも強い結びつきが注目されています。今回は北部で国境を隔てて隣接する中国とベトナムの関係に関して解説をします。

ベトナムに見る中国文化の影響

まず初めに東アジアの文化形成に関して解説をします。
日本人を含む中国、韓国、ベトナムなどの国においては、中国の儒教の教えがそれぞれの国の文化形成のベースとなっています。
儒教とは、中国の孔子という学者が提唱した哲学のことで、21世紀の今日になってもなお、我々の知らないところ潜在的な意識レベルにその教えは強く根強いています。

儒教の教えの例として最もわかりやすいのが東アジアの言語です。
英語と比較するとわかるように、東アジアの言語には敬語があります
相手の年齢や立場によって同士や言葉の使い方を選ぶという文化は英語を始めとするヨーロッパ系の言語には見られない特徴です。

なぜ東アジアの言語は敬語を使うかと言うと、儒教の教えに「年上を敬う」と言う思想があるためです。

この儒教の考え方は東アジア全般で共通であり、ベトナムと中国をつなぐ共通の理解であるともいえます。

その他でも、中国からの文化の影響はベトナムに住んでいると至るところで見つけられます。
例えば、ベトナム人の名前として常に人気ランキングに入っている「Ngoc(ゴック)」という名前は、中国語の「玉」という漢字が元になっています。
古来の中国文化では玉は勾玉などの宝石を意味するので、ゴックと言う名前の人に出会ったら、「きっと両親が美しく聡明な人に育つようにと願い名付けた」とイメージしてみてください

他にも、市内や郊外の文化遺産などを訪れると、仏教関係のお寺に漢字が書かれているのもよく見かけます。
現在のベトナム人で漢字が読める人は多くないそうですが、漢字の施された芸術品関係がいたるところにある様子を観察すると、その中国文化の力強さを感じます。

ベトナムと中国の社会共産主義

前述の通り、日本、中国、韓国、ベトナムには儒教の教えに基づく文化の共通理解がありますが、中国とベトナムを特に強く結びつけるのは、共産社会主義の歴史です。

もともとベトナムは1000年前まで現在の中国である中華帝国の支配を受けていました。
ここで、ベトナム側の勢力が中国勢力を打ち破り、独立して中国との関係を確立します。

持ちつ持たれつの関係であった中越両国ですが、ベトナムはフランスの支配植民地支配下に入る事で、中国との関係に一旦変化を見せます
20世紀の中頃には、フランス植民地支配に対抗しようとしていたベトナムを、中国の共産党が支持します。
やがて植民地時代は終わりを迎え、ベトナムも共産党政権のもと現在の国家体制を築きます。

中国とベトナムはお互いに共産社会主義をイデオロギーとして掲げる国家のため、理論的には友好関係にあるはずです。

アジアの国のみならず社会共産主義を掲げる国では、お互いを国という概念よりも共通のイデオロギーを有する「同志」であると認識します。
しかし、やはり国境を隔てて隣接する国であるため、国境付近での緊張関係が途絶えません
国境関連の問題としては、ベトナムの北部の町で貧困を理由に中国側に売り渡されるベトナム人が後を立たず、人権活動団体がシェルターなどを作り保護活動を行っていることがあげられます。

ベトナムと中国の現在の関係

歴史や政治の事情により常に一定の緊張が存在する中国とベトナムの関係ですが、経済においては相互依存関係にあると観察できます。
ベトナム側からすると、大国の経済パートナーとしては日本やアメリカなどの国との結びつきを強く望んでいます。
しかし、日用品や一般的に消費されるものの物流を考えると、ベトナム国内には中国製品が多数出回り、反対に中国の方にもベトナム製品が輸出されるケースが多いです。

そのため、お金の観点で見ればベトナムと中国はなかなか遮断することのできない関係性にあります。

経済的な結びつきに関して大きな注目を集めているのが、ベトナムでの電車開通プロジェクトです。
すでに世界中の人に知られている通り、ベトナムの交通渋滞はシビアな問題であり、大気汚染などの環境的な要因も踏まえて早急に解決しなければならない課題の1つです。
それに伴い、首都のハノイでは電車の建設を15年以上前から進めています

これにあたりベトナム政府は、中国の企業に建設を依頼しましたが、その開発がどんどん遅れで、今でも電車の開通は停滞状態となっています。

ハノイの市内を歩いていると、建設された電車のレールを見かけます。
しかし、実際の運転するフェーズにはまだ移行しておらず、地元のベトナム住民からは絶望的な眼差しが向けられています。