ベトナムの犬猫事情、ペットから食卓まで

ベトナムに長く住んでいると、ペットを飼ってみようと考える人も多いのではないでしょうか。日本では、犬や猫を飼うことが当たり前になりつつありますが、ベトナムでは動物を家で飼う事はまだまだ新しい文化です。今回は、ベトナムにおけるペット事情に関して様々な視点から紹介をしていきたいと思います。

空前のペットブーム


はじめにお伝えをしておきたいのが、ベトナムではペットとして動物を家で飼う事は比較的新しい慣習であると言うことです。
十数年前まで、犬や猫は主に食用の動物だと捉えられていました。
そのため、日本人のイメージするような人生におけるパートナーとして犬や猫を家庭で取り扱うと言う事は、主に若い世代に理解される概念です。

現在の40代から60代の世代にとっての犬は、番犬として飼われていることが多く、ベトナムの街を歩いていると大きな犬に吠えられた経験を持つ方も多いのではないでしょうか。
こういった家庭の多くでは、ベトナムでの押し入り強盗等の被害を懸念して、あえて大きい犬を放し飼いにしておくこともよくあります

最近では、ベトナムの高度経済成長の影響によって、富裕層を中心にライフスタイルに大きな変化が起きて起き始めています。
その一つとして、お金のある家庭では外国から来た種類の猫や犬を飼うことがトレンドになりつつあります。
そのため、ヨーロッパ原産の種類の動物は市場において高値で取引され、街では転売目的で誘拐されるなどの被害も起きています。

ベトナムと食犬文化

最近では廃れつつありますが、ベトナムには犬や猫を食べるという文化があります。
この文化は、特に中国と隣接している北部などのエリアでよく見られる習慣です。
犬を食べることに抵抗が多い日本人も多いですが、ベトナム北部の町では犬を食べる事はお祝いの食事としてみなされ、縁起が良いと考えられています。
筆者も、北部の町ハノイのローカルマーケット歩いている際に、犬と思わしき形をした動物が串刺しにされて丸ごとグリルされているのを見たことがあります。
日本人からするとかなりショッキングな光景なので驚くと思いますが、個人的な賛成反対は別として、これもれっきとしたベトナムの文化の1つであるため、慣習としてはリスペクトする見方もあります。

ローカルマーケットでの犬の肉の飼い方ですが、あらかじめ裁かれたものが売っていたり、グリル済みのものが売られていたりすることもありますが、お店の軒先に犬が大きな檻に入れられ、顧客が希望の犬を選ぶと裏でそのまま裁かれるという販売方法をとっている店もあります。

しかし最近、ビジネスでも観光でも、ベトナムという国自体に、海外から注目が集まっていることもありベトナム国内でも犬食に懐疑的になりつつあります。
犬を食べると言う文化は国際的に非難を浴びやすく、とてもイメージが悪いので若い世代を中心に嫌煙する人が増えてきました。

ベトナム語で犬の肉はティッチョー(Thịt Chó)と言います。
ローカルフード店でThịt Chóと書いてあれば、犬の肉料理が出てくるお店ですので、各自ご判断の上ご利用をおすすめします。

ベトナムで広がりつつある動物保護運動


若い世代を中心にベトナムでの犬や猫を食べると言う習慣に対して懐疑的になりつつある中、ベトナムでも動物愛護精神に基づく保護活動が注目されています。

ベトナムでは、場所にもよりますがストリートのお店の場合5000円から10,000円といった破格の価格で犬や猫が買えることもあります。
しかし、こういったペットショップの多くは、狭いスペースにたくさんの動物を詰め込み、感染症などのリスクが高い劣悪な環境で飼育しています。
実際に筆者の友人で、地元のトレーダー経由で動物を迎えた人がいます。
しかし、迎えた段階ですでに感染症にかかっており、1週間くらいで亡くなってしまったと聞きました。
こういった事例を踏まえて、悪質なトレーダーから動物を買わない、または販売自体に反対するという社会的動きが増えています

最近では非営利を目的とした市民団体なども立ち上がっています。
ホーチミンを中心に活動しているARCという団体では、犬や猫を「物」として見るという根本的な考え方を変えようと尽力しています。
ベトナムで保護された犬や猫を、愛情を持って飼ってくれる飼い主とマッチングさせ、引き渡す活動をしています。
ARC Ho Chi Minh city
http://arcpets.com/

また、ダナンを中心に活動しているPawsという団体は、路上などで事故にあったり怪我をしたりした動物を保護して、医療ケアを受けさせています。
その他にも、治療だけではなく去勢等が必要な動物のケアも行っています。
ベトナムでは、まだまだ経済発展途中にあることを理由に、ペットに医療ケアを受けさせられないという事情があります。
そのため、まだまだ規模は小さいですが、市民団体の手によって少しずつペットへの考え方の変化や社会全体を良くするというポジティブな動きも見られるため、社会全体の変化に是非注目してみてください。
Paws Danang city
https://pawsforcompassion.org/