ベトナムのことをもっと知ろう!ベトナムの音楽事情

政治、経済、言語などの高度な知識が必要とされる文化交流の場もあれば、音楽のように音を愛するものなら国を超えて、共通の理解が得られる場もあります。言葉で分かり合えなくても、歌って踊って心の距離が近くなることもあるくらいです。今回は、ベトナムにおける音楽にまつわる事情に関して解説をしていきます。

ベトナムと音楽の歴史

まず初めにベトナムの音楽に関して言えるのは、歴史的には中国の影響を色濃く受けていると言う点です。
ベトナムはもともと、約1000年前まで中国の支配下にありました。
そのためベトナムの現在の文化は中国文化がベースになっているものが多いです。
具体的には、ベトナムの古典音楽などを研究する際に、中国式のメロディー構成や、中国の伝統楽器とよく似た楽器を使って演奏しているのを見かけます。
なおベトナムの古典音楽は、水上人形劇などの伝統芸術を観覧する際にお楽しみいただけます。

ベトナムの音楽シーンに革命が起きたのは、20世紀初頭のフランス植民地時代です。
この時代に、西洋音楽の基盤がベトナムにも入ってくるようになりました。

フランス植民地時代に受けた音楽における影響は主に2つあります。

1つは、恋愛を中心とした題材のロマンス音楽の流行です。
植民地時代に、ベトナムに西洋的な愛の価値観が入ってきたため、愛する人に音楽を送るという価値観が生まれました。
この価値観は現代の音楽シーンでも観察することができます。
例えば、ベトナムの音楽の歌詞には「Anh yeu Em(君を愛している)」と言う意味の歌詞がとても多く登場します。
ベトナム人の同僚とカラオケに行く際には歌詞にもよく注目してみてください。

2つ目はベトナムにおけるナショナリズムの台頭です。
ベトナムは歴史的に中国やフランスなど外国勢力の支配を受けてきたことから、これに対抗したナショナリズムの高まりを20世紀の初頭に経験をします。
そしてこのナショナリズムの台頭は、政治的な活動のみならず、音に乗せて自分たちの気持ちを歌にして表現すると言う方法も生みだしました。
具体的には、ベトナムの古い音楽を分析すると、軍国主義的な歌詞が登場したり、祖国への愛を語る内容の歌詞があったりする曲が多いことに気づきます。

ベトナムの音楽、V-POPってなに?

V-POPとは、日本のJ-Popや韓国のK-Pop等に代表されるような、大衆に好まれるポピュラーな音楽のことです。
V-POPはベトナム戦争より前の時代にベトナムの南部で始まりました。
しかし、ベトナム戦争で南北が統一されたことから、当時の共産主義の思想に基づき、ポピュラー音楽が政府によって禁止されたこともありました。
ベトナムのみならず世界の多くの社会共産主義国家で見られる傾向ですが、こういった国では思想の統一を図るために、音楽を始めとする芸術に規制をかける場合があります
そのため、社会共産主義の歴史を持つ国では音楽の業界が発展しづらい傾向にあり、現在の音楽マーケットにおいてもその片鱗が見られます。

しかしこの音楽の規制も20世紀の後半には解禁されたため、現在はベトナムでも盛んにクリエイティブな音楽が生み出され続けています。
V-POPはベトナムで最もポピュラーな音楽のジャンルのため、タクシーに乗った際に運転手がラジオで流したり、街中でカラオケをする若者が歌ったりするときに耳にします。

最近ではEDM的な音楽も増えていますが、筆者の感覚で言うとV-POPはどちらかと言うと日本の演歌のようなものが多い気がします。
歌い方は、こぶしを聞かせて感情的に歌いあげるものが多く、ベトナム人情熱的な国民性が伝わってきます。
最近の若い人では、ギターを始め趣味としてギターを始める人も増えてきましたが、楽器の価格がまだまだ高いことから、富裕層のみが楽しめる趣味になっています。

ベトナムの音楽フェスとは?

ベトナムにおいては音楽自体がまだ新興のマーケットであることから、野外音楽フェスティバルなどのイベントは数少ないです。
しかし、その中でも有名なのがハノイの近郊で行われるクエストフェスティバルです。
この音楽フェスティバルは屋外で行われ、海外からのゲストなども招いて二日間にわたってイベントが開催されます。
フェスティバル文化になじみがあることから、このフェスティバルには外国人の来場者が多いです。

他にも、ベトナムで音楽を楽しめる場所と言えば「ハノイロックシティー」が有名です。
ここは若者に人気の高い音楽ホールであり、アコースティックギターを使ったリサイタルから、ロックバンドの演奏までいろいろな楽しみ方ができます。
また、日本人の音楽サークルがホールを貸切って日本の音楽イベントを行うこともあります。
音楽のほかにも、ハノイロックシティーは映画の上映や小さなマーケットが開かれることもあるので、是非こまめにイベントをチェックしてみてください。

ハノイロックシティー