ベトナム、中国、ラオス、カンボジア四国の国際関係

東南アジアでのビジネス展開が盛んになってきたこともあり、日本と東南アジアの国々との外交関係に注目し始めた人も多いのではないでしょうか。ベトナムに焦点を当てる際に、近隣の国との国際関係や政治にまつわる歴史を知る事も大切です。そこで今回は、ベトナムを中心に近隣のアジア諸国との関係を分析します。

キーワードは社会共産主義


ベトナムと近隣の国々を分析する際に、いつもキーワードになるのは社会共産主義の歴史です。
中国とベトナムは、東南アジアにおける最大の社会共産主義勢力です。
この政治的なイデオロギーはマルクス主義に由来するものですが、冷戦時代をターニングポイントとしてこの二大勢力は決定的に異なる道を歩むことになります。

ベトナムは冷戦時代からソ連勢力と強く結びついていました。
ソ連は、ベトナムにとっての力強いパトロンであり、経済的にも政治的にも多大な支援を受けていました。
一方、中国はソ連との決別を経験したこともあり、中国独自の共産主義イデオロギーを形成していきました。

その結果として、中国とベトナムは両国ともマルクス主義に基づく政治イデオロギーのルーツを持ちますが、この2国現代国際社会において異なる発展を見せました

ベトナムと中国にとってのラオスとカンボジア

前述の通り、中国とベトナムは東南アジアにおける二大勢力としての歴史を連ねてきましたが、東南アジアの歴史を語るにあたりラオスとカンボジアもその物語のキャラクターとして登場してきます。
この2つの国々は、ベトナムと中国と国境を共有していることもあり、二大共産主義勢力の影響を歴史的に強く受けてきました。

中国のカンボジアに対するアプローチですが、中国は長い間カンボジアに対して経済的にも政治的にも援助を行ってきました。
そのため、現在でもカンボジアの街中を歩いていると、中国関係の会社のオフィスや、中国語の記載された製品を目の当たりにすることが多く、その関係の近さを実感することができます。

これに対してベトナムのラオスに対するアプローチですが、ベトナム戦争時代からラオスはベトナムと友好関係にあり、南北の攻撃作戦に際しては、ラオスが北ベトナムに対して作戦遂行のためにラオス国内を通過する許可をベトナムに与えたくらいです。
ベトナムとラオスの国境では領域の争いが小さい規模で行われてきましたが、これに関してもどちらかが力で抑えるのではなく、共同存続する道を取れる外交政策を展開しています。

クメールルージュ政党とポル・ポト

東南アジアにおける国際関係を語る上で欠かせないのが、クメールルージュ政党の台頭とポル・ポトによる支配です。
クメールルージュとは、カンボジアにかつて存在した政治勢力です。
カンボジアは、国土や政治経済におけるあらゆる規模が比較的小さい国です。
そのため、国の歴史としてこれまでにベトナムや中国などの大国の影響を強く受けてきました。

ベトナム戦争の時代には、世界的に資本主義の考え方が浸透しはじめ社会共産主義を捨てるべきだという風潮が高まってきました。
カンボジアでも、資本主義の波に乗ろうとする考えが国内で増えはじめましたが、これを抑えたのがクメールルージュ政党です。

カンボジアの言葉はクメール文字と呼ばれるように、クメールとはカンボジアの古い呼び名です。
要するにクメールルージュ政党とは、古き良きカンボジアを取り戻してナショナリズムを高め、社会共産主義の原理的な思想に基づいて国を動かそうという政党です。

この政党のトップがポル・ポトと言う人物であり、カンボジア内の資本主義思考を持つ人を追い出すために、大規模な虐殺を行います。
この大規模虐殺は東南アジア全体を震撼させ、国内で収拾がつかなくなった事態を鑑みて、ベトナムがカンボジア侵攻を決めます。

ベトナムのカンボジア侵攻

ベトナムのカンボジア侵攻に関してポジティブな見方とネガティブの見方の両方があります。
ポジティブな見方としては、大量殺戮を行ったポル・ポト政権のクメールルージュ政党を止めることができたと言う点です。
ネガティブな見方としては、結果がどうあれベトナムの行動は内政干渉であるため、国境越えた権力の行使とみなされます。
そのため、今でもカンボジアのナショナリストにとってベトナムは敵であり、南部の国境には一定の緊張が漂います。


ベトナムのカンボジア侵攻は、カンボジアとの二国関係のみならず、ベトナムと中国の関係にも影響を及ぼします。
もともと、中国はカンボジアを支援していたことから、その支援先である国に勝手にベトナムが侵攻してきたことによって、中国側にとっては反ベトナム感情を引き起こしました。

このように、中国、ベトナム、カンボジア、ラオスを巻き込む四国関係は、政治的あるいは経済的に複雑な事情が絡んであり、一見平和そうに見える現代でも常に一定の緊張感を持っています。