日本人との共生に悩み葛藤する日本在住ベトナム人技能実習生

日本おけるベトナム人労働者数は2012年では26,828人であったが2020年には443,998人と、ここ数年で著しく増加しています。国籍別でみると中国を抜いてトップとなりました。ベトナム人労働者数の在留資格別にみると技能実習生が218,600人(ベトナム人労働者全体の49.2%)と最も多いです。

技能実習生が日本の企業を支えている一方で、日本人との共生に対して様々な問題に直面しています。

日本の技能実習生へのサポート

入国直後のベトナム人技能実習生は1人では必要手続きはできないのです。
予め入国前後に半年程度、日本語教育は行われますが、会話レベルはほとんどの実習生が日本の小学生レベルです。
まず初めに行うのが住民登録になるはずです。
これを行わないと税金を納めたり等出来ず法令違反となります。
そのため企業や協同組合が必ず連れていき役所にて登録します。
その他にも、健康保険、雇用保険や外国人のためハローワークにも届け出を行うことが必須です。

これだけの多くの必要手続きを行ってでも、日本の企業はベトナム人技能実習生を重宝しています。
その背景には中小企業がどれだけ求人をかけても若手の日本人は応募してこないそうです。

それに対し、ベトナム人技能実習生はお金がほしくて実習で日本に来ている事が多いようです。

つまり技能実習というよりも、出稼ぎの状態になっているかもしれません。
その点に関しては、企業と実習生の需要と供給がマッチしつつあります。

またその他の重要な手続きに入管でのビザの更新があります。
これを行わないと不法滞在、いわゆるオーバーステイとなってしまいます。

技能実習生の場合は、ほとんど自分で行う事ができないため、代わりに企業や監理団体が行うと思います。
ビザの更新が完成し、それによって新しい在留カードが発行されます。
これは1年ごとの為、毎年申請する必要があります。
しかし、一部の悪徳業者が偽造した在留カードを作成し、ベトナム人技能実習生に販売していることも実態として存在しています。
この対策として日本では出入国在留管理庁が在留カード読み取り機能を導入し始めているわけです。
スマホ等でその場で在留カードを読み取り偽造がどうか判別するシステムのようです。
ベトナム人技能実習生はよく街中で警察から職務質問を受けることがありますが、法令上在留カードの携帯は義務付けられていますので、提示することが多々あるようです。
今後はその際にスマホ等でその場で在留カードを読み取り偽造かどうか確認する事が増えるかもしれません。

また実習で、仕事に慣れていないと時折、就業時にケガをしてしまう事があり、いわゆる労災です。
病院に連れていくものの日本語が上手ではない実習生もいる為、問診等で会話がうまく出来ず苦戦する時もあります。
そういった場合には協同組合の通訳のできるスタッフを帯同させたり、最近ではポケートク等の翻訳機能の付いた機器を使用したりする事があります。
またその労災での企業の安全管理に対しての内容によっては、ベトナム実習生と企業の間で関係性が悪化してしまい、裁判にまで持ち込まれたケースもありました。
安全衛生法に違反している会社が散見している為です。
仕事に不慣れな技能実習生の為にも、労災の起きない安心・安全な企業体制が求められるでしょう。

技能実習生の待遇

日本の会社員では月給制が多いですが、技能実習生は業界・業種にもよりますが「時給制・日給制・月給制」のいずれかです。
ベトナム人技能実習生はやはり出稼ぎ感覚で来日しているため、給料に対してはシビアに確認していると思います。
確認する方法としては、雇用条件書です。
来日する前にも基本的には母国で雇用条件書を交わします。
企業が事前に作成した雇用条件書に給料、雇用形態など全ての待遇についての内容を記載しないといけないのです。
ベトナム人技能実習生はこの雇用条件書を確認してから入社することになります。
そのためあまりにも安い条件では、なかなか応募がない事もあるとのことです。
法令上、最低賃金を下回らなければよいですが、その最低賃金が800円程度の地域もあります。
1日8時間の労働とし、年間労働日数が245日としますと年収で約157万円程度になります。
また賞与、ボーナスに関しては技能実習制度上、企業は就業規則にのっていない場合は支払う義務はありません

さらにベトナムは日本とは租税条約を結ばれていないため、税金、社会保険等も控除されるため手取りとしては非常に少ない気がします。
(同じ技能実習生でもタイなどでは日本と租税条約を締結していますので所得税などの税金を納める義務はないです)

そのため、日本人の給与と比較しこの年収に満足しないベトナム人実習生も少なくないと考えられます。
さらに日常生活で使用するお金だけでなく、家族のために仕送りを送る実習生もいるとのことです。
日本と異なりベトナムは兄弟など家族が元々多く、扶養している家族が非常に多いため、仕送りに関しては抵抗を感じないようです。
良い意味で、家族愛が強いと考えられます。
実習生によっては多いと月に5万円ほど仕送りするため、手元に残るのはほんのわずかと思います。

失踪

昨今のベトナム技能実習生の問題点として、失踪が挙げられます。
背景には大きくわけて2つあると思われます。

企業による実習生の暴力被害

業種、業界や企業によっては暴力が全くないことはないのです。
暴力と一言で言っても様々なケースがあり、殴るはもちろん、罵倒したり、ヘルメットの上から道具で叩いたりと多様な暴力がありました。
特に日本語の上手でない実習生はうまくコミュニケーションをとることができず、日本人従業員がイライラしてしまい手を出してしまうことがありました。
そんな暴力に耐えきれず、失踪していつのまにか帰国しているケースがあるのです。

悪徳ブローカーによる勧誘
前述したように、ベトナム人技能実習生は性格的にお金に関しては、シビアな気がします。
家族の為にも少しでも給与が高い仕事をしたいと思っているそうです。
その気持ちにつけこみ、悪徳業者のブローカーが他企業への転職を勧誘するようです。
ブローカーとのつながり方は、以前は知り合い経由でのアプローチが多かったですが、現在ではスマホやSNSの急速な拡大によりインターネット上での勧誘が多いそうです。
もしその勧誘にのった場合、転職先の企業はブローカーに紹介料金を支払い、実習生は企業からより多くの給料をもらうことになります。
失踪の仕方はほとんどの場合は一切周りの人間には話さず、突然です。
事前に必要最低限の荷物をまとめて、ブローカーが夜中に車で迎えに来るらしいです。
そのため、失踪が発覚するタイミングは朝が多い気がします。
出社しない実習生を不審に思い、宿舎を訪れると部屋は空っぽの状態です。
失踪した本人としては逃げたまま1年が経ち在留カードを更新しないと不法滞在となります。
その状態で偶然、職務質問され発覚すれば、法令違反となるので場合によっては直ちに強制帰国です。
そうならないためにも、日ごろからベトナム人実習生に気を配らなければならないでしょう。

今後日本人の若者不足に伴い、ベトナム技能実習生が増え日本の多くの企業を支えていくことは間違いないでしょう。そのためにも、日本人が理解し、気を配ることでうまく共生していくべきだと考えられます。

在ベトナム日本国大使館のホームページにはさまざまな情報が掲載されているので、ぜひご確認ください。