日系企業におけるベトナム現地法人工場での様子 

2004年に400社程度でしたが、現在ベトナムには日系企業が約2,000社程度進出しているそうです。今後も日系企業の進出数が増加傾向になる中で、特に製造業の業界・業種が進出しつつあります。同じ企業の製品でも工場が日本ではなく、ベトナムにあるだけで生産スタイルや製造過程が異なります。

ベトナム人の働き方スタイル

まず日本人が必ず驚くことは帰宅スピードだ。
定時のチャイムが鳴れば一斉に席を立ち帰宅します。
中には定時の前から帰宅の準備し、そわそわしている者もいます。
もちろん一部の管理職などの従業員は残業していますが、日本のように夜遅くまで働くことは滅多にないそうです。
ベトナムの法律上日本よりも比較的、残業時間の規制が厳しく、1日の通常勤務時間の50%以下や、年間では、200時間を超えてはならないという法があるとのことです。
しかし、法律だけではなくやはりベトナム人の考え方にもあると思います。
早く帰って家族と一緒に過ごす時間を大切にしたり、プライベートの時間を大切にしたりするそうです。
「残業する事=かっこいい」という考え方はほぼ存在しないようです。

また他にも驚くことは、とにかく工場で働く人に女性が多いです。
日本の場合は、工場ではやはり男性の比率が多いですが、ベトナムでは企業によっては、男女比率が半々も普通であるかもしれません。
その背景に、女性たちの働きたいという気持ちが非常に強いと考えられます。
ベトナムには貧困層が多く田舎から出てきた者も少なくないそうです。
昔の日本のように特に兄弟がたくさんいる家庭も珍しくないらしいです。
そのため女性も積極的に働きにきていると思います。
結局はお金が欲しいという意識が強い根底にあるようです。
そのためより多くの給与をもらえるならば働く場所を変えることに抵抗は感じないかもしれません。
中には転職を10回以上もしたという従業員もいます。
日本の終身雇用という考え方はベトナムにはほぼないような気がします。
ちなみにベトナムの女性は非常に強く、製造現場のチームリーダーの女性スタッフが設備系の技術の男性スタッフに質問攻めや叱咤することが多々ありました。
この国では女性には逆らえないと思います。

ベトナム工場での製造・設備の考え方

同じ製品を作るにも、日本で生産しているラインと全く同じ工程設計することはほとんどないです。
その理由の1つに人件費の安さがあります。
ここ数年で、ベトナムでは急激に最低賃金が引上げられていますが、日本と比較するとまだ人件費としては安いのです。
地域にもよりますが、大卒の初任給の平均が日本では20万円程度に対して、約2万円程度のため、およそ10分の1です。
そのため、製品の搬送では日本ではロボットで移動させることはよくありますが、ベトナムでは人件費の安さを計算し、大量の作業員が設備と設備の間に入り、順々に加工し終わった製品を手で搬送します
人数の多いラインでは10人以上いる工程もありました。
まるでバケツリレーのような光景で初めて見る人には唖然とする気がします。

またベトナム人の目は非常に良いです。
視力検査の結果がよいだけでなく、近くのもので小さく細かい部分を目視で確認できます。
そのため日本ではカメラ等を使用して画像検査で製品のキズや打痕をチェックしますが、人件費の安さや働き手が多いことを利用し、大量の検査作業員を投入するのです。
そのため、少しでもキズがあれば不良報告をしてくださいと伝えると、あまりに目が良すぎて多量のキズを発見し、爆発的な不良率を出してしまうことがありました。

ベトナムの気候とインフラ

ベトナムは一年を通して熱帯な気候です。
冬は寒いが日本ほどではなく、夏に関しては気温40℃も超えることもあり、日本人には非常にうなだれてしまうと思います。
この暑さは工場にも大きく影響します。
この暑さによって、従業員が熱中症になったり、製品が不良品になったりしないように、各エリアに必ずエアコンがあります。
しかし、ベトナム人はなぜか日本人が寒いと感じるまでエアコンを効かします。
タクシーの中でも同様な気がします。
なぜか寒がりはあまりいないようです。
具体的に何度から何度までと指示しないと限度がないようで、日本のような省エネや環境保全などの概念は存在しないかもしれません。
またベトナムではスコールのような突発的に激しい雨が降ることがあります。
するとしばしば停電することがありました。
ベトナムの電線事情は非常にラフです。
そのため田舎の地域や建物によっては、少しの雨でも停電してしまうことがあるそうです。
そもそも町中は配線むき出しの状態がスタンダードです。
日本人からするとちょっとしたカルチャーショックを感じる人もいる気がします。
停電してしまえば、もちろん、エアコンも止まるため地獄の始まりです。
気温40度の夏場では最悪の状態になるでしょう。
また建物の非常に造りもラフです。
建築技術が未熟なところもある気がします。
大雨が降った時に天井から大量の雨が侵入したり、配管から亀裂ができきれいな噴水のように水が飛び出してきたりと、工場が水浸しになってしまったこともありました。
中小企業であれば1度は経験したことあるでしょう。

ベトナム工場の社員食堂

まず日本人が感じるのは強烈な臭いです。

初めて入る日本人であれば入った瞬間にめまいを感じるレベル気がします。
パクチーやチリソースなどの独特な香辛料、調味料の匂いだと思います。
また食べ残しが多く、日本のようにもったいないという考えはないかもしれません。
食べ残しは残飯として、豚用などの家畜のエサにまわすようです。
その食べ残しも強烈な臭いの理由な気がします。
以前、納入先の欧米人の顧客の訪問があり、昼食に社員食堂に入った瞬間、英語の分からない日本人でも明らかにオーマイゴーと言ったのを聞き取れました。
一部の日本人でも社員食堂が使えず、日本のカップラーメンを食べる人もいました。
また食事に関連して、とにかく果物が好きなようです。
四六時中食べていました。
元々熱帯な気候である為、果物の種類も多く豊富に実り、それにより大量に安く手に入るそうです。
ライチなどは格別においしいです。

日本の場合は工場では休憩中は普通タバコを吸ったり飲み物を飲んだりしますが、ベトナムではその場で果物を器用にナイフで切り、食べ始めます。
しかも、製造ラインのすぐ横です。
日本では考えられない光景だと思います。

ベトナムでは多くの若者の働き手や人件費の安さから、今後も多くの日系企業が進出していくことは間違いないです。そのためにも、ベトナム人の性格や文化を分かり合いながら、ともに楽しく働く環境作りが重要になっていくでしょう。