ベトナムにおける韓国企業の台頭

ここ5年、2018年をピークにベトナムへの韓国企業進出が急加速。街を見渡せばホテル・レストラン・ショッピングモール・スーパーはロッテ系列携帯・電気製品はSamsungとLG、自動車は現代(Hyundai)と完全に国民生活の一部に溶け込む韓国企業。今や韓国企業無くしてベトナム経済成り立たずの構図を分析していきます。

ベトナムNO.1現在4000社を超える韓国企業

ベトナム経済に韓国企業がどれだけの影響を及ぼしているか。
人口9,600万人中、韓国人のベトナムにおける労働人口は13万人、これは日本の10倍にあたります。それにより韓国企業は現地で70万人もの雇用を生んでいます。
さらに進出企業数は韓国4,000社に対し日系企業はその半分の2,000社です。

この差の要因は韓国企業による莫大な投資と、日本より早期段階から国策における外国人研修・教育制度を設け、外国人労働者に韓国企業への就業の門戸を開放したことによるものです。

◇韓国の外国人労働者に関する国策とその例 1991年~

1.産業技術研修制度
海外子会社で雇用した外国人労働者を韓国で研修させ、再度投資先の韓国企業で雇用する制度です。これは中小企業へ海外投資を促すものでもあり、従業員300人以下の中小企業が対象です。

2.研修就業制度
上記制度で就労した労働者に就労資格を与える制度(韓国国内及び海外子会社が対象)

3.高度外国人労働者の特定資格者への優遇措置(ゴールドカード/サイエンスカード等)
その他、雇用許可制度や就業許可制度などがあります。

これらの国策を観ても、いかに韓国が外国人労働者の受入れと、教育・研修による技能向上に注力し、優秀な外国人労働者を取り込んできたがわかります。

ベトナム経済成長に貢献する産業分野と韓国大手企業

ではベトナムにおいて、どのような産業分野と企業が成長しているのか。
2020年のベトナムにおける業種別の経済成長率は、新型コロナ感染症により
ホテル・レストランは▲14.7%も、サービス業で+10.6%、情報通信業で+6.9%、
建設業で+6.8%、科学技術分野で+6.6%となります。

企業別(国営・公営含む)では
1.エネルギー・プラント
韓国電力(ギソン石炭火力発電) ・住商との合弁(ナムディン石炭火力発電)

2.建設・鉄鋼機械
ロッテ建設:鉄道・空港をはじめ、ベトナムを象徴する著名建造物

ハノイ・ハイランドマークタワー
ホーチミン・ピテクスコフィナンシャルタワー
ハノイ・ロッテセンター

ベトナムの3大高層ビルの入札を勝ち取り建設(日系大手ゼネコン・大林組や鹿島建設と常に競合も価格面で苦戦模様)

鉄鋼機械では世亜鉄鋼(ドンナイに32万tの製造工場)や高麗亜鉛などが好調です。

3.エレクトロニクス・電子
Samsung:圧倒的シェアを持つ。北部ハイフォンに巨大・携帯電話工場、南部には家電・ディスプレー工場など6拠点、25億6千万ドルの投資で売上70億ドル
LGエレクトロニクス カメラ・モジュールハイフォン工場他、合弁物流会社も設立

4.自動車産業
現代(Hyundai)自動車:ベトナム・タイコンGPとの合弁会社ハイフォン工場(写真)2020年後半は年間生産台数10万台 地産地消での業績拡大を図る。
また海上火災保険会社・ビエティンバンク保険株の25%取得しています。

5.投資関連
SKグループ 5社の投資会社を設立

6.ホテル・レストラン
ロッテ観光グループ:ロッテタワー・ハノイ(写真)にホテル・百貨店、免税店や郊外の巨大モール、イーマート・ロッテマート等のスーパーなどトウーテエム新都心にスマートシティーに巨額投資日系ではイオンや高島屋百貨店も店舗数で大幅に上回ります。

ベトナムGDP経済成長と貿易黒字

まず韓国企業がなぜベトナムでこのような急成長をしたのか?
先に述べた外国人労働者に対する国策がヒットしたことはもちろん、韓国がベトナムにおける海外企業の投資額NO.1(全海外企業の1/3)だからです。
(2013年までは日本が最高でした)

ベトナムにおける韓国企業の投資は2018年がピーク、数千・数百億ウオンの投資は先に述べた(関連)企業の製造業によるものです。

1.ベトナムGDP経済成長(2020年)
ベトナムGDP経済成長率の推移は2011年以降平均+6.7%です。
その後、2018年に7.1%増と最高となります。
2020年新型コロナウイルス感染症により世界経済は大打撃を受けました。
GDP世界の平均経済成長率は▲4.4%(先進国▲5.8% 途上国▲3.3%)
そんな中でもベトナムGDPの経済成長率は+2.9%です。
2020年コロナ禍においてもベトナムGDPはプラス成長しています。

2.貿易黒字
ベトナム全体の2020年貿易黒字は過去最高
(i)輸出は2.826億5,500万ドル
相手国の1位・2位は当然、アメリカと中国(3位日本)
(ii)輸入は輸入が2.627億63万ドル
相手国1位は中国、2位が韓国で486億ドル(3位日本)

ベトナムの対韓国輸出の黒字は315億84万ドル(ベトナム貿易黒字の1/3)
分野の内訳は電子部品が圧倒的で24.4%でダントツです。

まとめ

ベトナムにとって数値上の最大顧客は、ASEAN諸国ではなくやはりアメリカ・中国です。
しかし、上記の内容からしてもその陰には強力な韓国企業の原動力があり、韓国は言わばベトナムGDPと貿易黒字の立役者であることは間違いない。
強いては今後、ベトナム市場において日系企業が生き残るためには、韓国企業との競争に打ち勝つ戦略が必要となります。